スキッツォイドマン物語
 
死後の世界。

ここには今も昔もありません。

 

あそこに見えるは故人達。

閻魔大王に地獄行きか極楽行きかを決めてもらう為、ああして並んでいるのです。

 

その長い長い列の先に座る方こそ閻魔大王。

しかし、なんだかくたびれた様子。

それもこれも最近の亡くなる人が急増しているからであります。

 

「犯罪に自殺。生を全うしてなければ極楽へ送れない。それもこんな人数...現世は一体どうなっておるのだ...」

 

閻魔がため息混じりに故人達をどんどん地獄へ送る中、後方の故人達が突如笑いはじめ、

お祭り騒ぎになっていると報告が入りました。

 

閻魔はすぐに獄卒を送り騒ぎを抑えようとします。

が、なんと、

獄卒も故人達と楽しそうに騒いでしまう始末。

 

「一体何が起きておるのだ?」

騒ぎの様子を見ようと列の後方に目をやると、

遠くより列をなす故人達の頭上を、歌を口ずさみながらあれよあれよと運ばれる者がいます。

 

その者が頭上を過ぎゆくたびにどんどん大きくなる故人達の騒ぎ。

故人達が生み出した波を乗りこなし、とうとう閻魔の目の前までやってきました。

 

「これは…ずいぶんと派手な騒ぎを起こしたな」

 

「お、閻魔様!ならばここが地獄!」

 

「いや、"まだ"違う。地獄へ行きたいのか?それならばすぐに送ってやる」

 

「どこへでも好きに送ってくれて結構!音と歌があって皆で騒げば、いつでもどこでもそこが極楽でございます!」

 

「確かにこんな光景は見たことない。これぞ極楽。」

 

閻魔の目に映ったのは皆死んだことを忘れたように、互いに肩を組み、大声で笑い、

これほどにない幸福を噛み締めている故人達の姿でした。

 

 

 

その時閻魔は思ったのです。

 

 

 

こいつを連れて現世に降りてみよう。

現世の者達をこの故人と共に楽しませ、極楽を作ってしまおう。

そうすれば皆、生を全うし、地獄の仕事が少しは減る...

 

 

そう閃いたのでありました。

 

 

そうして、この1人の故人と閻魔大王は共に現世に降り立ち、ご開帳を通して奏で、歌い、訴えるのです。

"生きるという事は一体何なのか"という事を。

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